島本総合司法書士法人ブログ

荒苧

 司法書士の受験時代。通っていた予備校で「こんな登記はまず、出会うことがないですから試験対策として覚えて、受かったら忘れましょう」と言われた権利があった。この事務所に勤めて8年。謄本は数知れず見たがそういえば、お見かけしたことがない。
その権利の名は「永小作権」。
おそらく、一般には馴染みがないであろう言葉と思われる。「永小作権」とは他人の土地で「小作料」という使用料を支払い、その土地で田や畑など耕作したり牧畜したりすることができるという権利で民法で定められた立派な物権である。
そんな現代ではあまり馴染みがない権利に、偶然にも出会った。調査のため数十筆の謄本を取得していると、その権利はそのなかの1筆にあった。しかも設定は明治時代。かなりのヴィンテージものだ。気になったので、権利の内容をよく見ると、小作料には「荒苧○貫」との記載。荒苧って何だ?土から掘り出したばかりのひげが付いたままの荒い芋のことなのか?いや、よく見ると「芋」ではなく、「苧」である。ますます分からない。私は「荒苧」なるものが何なのか興味を覚え、ヤフーで検索してみた。このネット全盛期に「荒苧」を検索した結果は109件。いや、このブログが検索にヒットすれば110件目か。ちなみに読み方は「あらそ」。どうやら「荒苧」とは麻の表皮のことで絣の防染や畳を括るときの経糸に使うものらしい。ここで見なければ一生、知ることのなかった言葉だったかもしれない。何事も勉強である(H)。

2010年03月5日