幸先裕明ブログ

特に有利な金額

公開会社は、いわゆる第三者割当増資のとき、機関決定について、取締役会の決議のみで増資可能な場合もありますが、有利発行の場合は、株主総会の特別決議が必要となります。
これに関して、上場していない公開会社が、従業員(もしくは従業員持株会)に配当還元方式で算定した価額で、株主総会の決議なしに増資したいという相談がありました。配当還元方式の価額で税務上は問題ないとのことでしたが、有利発行に該当するか否かは別途検討しなければなりません。
その会社の株価は、正確には記憶していませんが、だいたい
配当還元方式      200円
類似業種比準方式   7000円
純資産価額方式  20,000円
のような感じでした。
つまり、配当還元方式で算定した価額は、純資産価額方式に比べてはるかに低く、類似業種比準方式と比較しても低い価額でした。
有利発行に該当するか否かは、上場会社であれば、一定のルールがあるようですが、非上場会社は難しい問題です。
そもそも、非上場会社の株式の時価がいくらなのかは難しい問題です。相続税評価における価額ですら上記のように色々です。M&Aで第三者へ売却する場合は、DCFなど更に異なる算定方式があります。
なので、有利発行に該当するかどうかの基準となる価額すら実は判然としませんから、有利発行に該当するかどうかについての判断は難しいものがあります。
『同族会社の運営とトラブル対応の実務』(新日本法規)の321頁にも
「市場価格のない株式については、会社の資産および収益状態、配当状況などを基礎に、業種または資本構成などの類似する会社の株式で、市場価格のあるものの市場価格を斟酌した上で決定されるべきと考えられます。」
とありました。
結局、本件については、その他の事情も斟酌し、どうしても配当還元方式で算定した価額にて増資したいのであれば、株主総会の特別決議を経るべきと考え、その旨相談者の方には伝えさせて頂きました。

2011年01月28日