幸先裕明ブログ

2017年11月

黄金株に関してよくある誤解②

「黄金株に関してよくある誤解」 (2017.10.2)の続きです。

意思表示ができなくなる状態に備え、黄金株を取得条項付株式とすれば良いという話もよく聞くところです。

では、取得対価は分配可能額がない状況に備えて無償とするとして、取得事由はどのような内容にすれば良いのでしょうか?

A 認知症と診断されるなど意思能力に問題があると判断された場合
B 成年後見等の審判を受けた場合

などでしょうか。

まず、Aの場合ですが、取得事由として明確な内容とは言えないと個人的には思います。黄金株を有する株主自身がこのような状況ではない(=取得事由は発生していない。)と考えた場合、揉めるもとです。(医学的なことは分かりませんが、ある医師は認知症と判断し、別の医師は認知症と判断しないということはありえるのではないでしょうか。また本人が医師による診断を望まないときも無理矢理診断させるのでしょうか。)取得事由が発生すると、株主は株式を取得されてしまいます。ですので、取得事由が明確であるということは極めて重要なことです。

次に、Bの場合ですが、取得事由としては明確な内容と言えると思います。ただ、黄金株を当該取得事由に基づき取得する場合、成年後見等の制度を利用せざるを得なくなります。もちろん、本人やご家族がその趣旨を良く理解したうえだと良いのですが、黄金株の取得事由を発生させるためだけにこれらの制度を利用させるのは色々な問題を孕んでいると言わざるをえません。また、取得事由が発生し、実際に取得したということは、当該株主にそれらの事由が発生したということを場合によっては関係者に知られることとになってしまうおそれもあります。

このように、取得事由をどのような内容とするかはなかなか困難な問題です。

ただ、相続対策で早めに後継者に株式(の経済的価値)を移転したいが、経営権は引き続き握っておきたいという事情で黄金株を導入しようと考えていた場合は、別の方法で対処可能なことが実際には多いので、黄金株ありきで前に進むのではなく、同様な効果を得られる別の方法がないか事前によく検討すべきだと思います。

2017年11月28日