島本章生ブログ

2011年6月

不動産詐欺

 本人に成りすまして、また本人の代理人と称して、本人の意思に反し不動産を売却し、また、担保に供させることはもちろん不法であり犯罪行為となる。
 司法書士は開業して引退するまでに不動産取引の犯罪場面に一度は関わるといわれる。
 20年くらい前に広島で地面師による詐欺事件があった。地面師(A)は、土地登記簿の原本を持ちかえり、自分の名を入れ、偽造した登記官の印を押印して、次の日に登記簿のバインダーに戻した。これで登記名義人はAとなる。そしてAは2億円でこの土地を売却したのである。買主は金融機関から融資を受けて2億円を支払った。2週間後に真実の所有者が不動産登記簿謄本を取り寄せたことろ、他人に所有権移転登記してあり驚き詐欺被害を知った。当時流行った漫画の「ナニワ金融道」に載っていた方法と同じだった。
 先日登記情報誌に神奈川県の司法書士が不動産詐欺取引に関わった報告が掲載されていた。この司法書士は、決済の日の前に偽造された権利証を疑い、決済の実行を止めた。運転免許証も精巧に偽造してあった。結局この詐欺師は、別の司法書士に依頼し、権利証は紛失したとものとして決済させて7000万円をせしめた。
 実際の偽造権利証が記事に掲載されていたが注意してみても偽造には見えない。これを疑ったのは司法書士の経験と感であろう。さすがだ。本件は仲介に善良な不動産会社も入っていた。
 詐欺事件に遭いやすい土地は、好立地で更地で、担保等の登記がなく、所有者が長年所有しているものとのこと。確かに売りやすい土地で関係者が極力少ないものが詐欺には打って付けであろう。
 うちの事務所でも従来から売主と登記名義人の同一性と意思の確認は徹底している。とはいえ、詐欺する側も周到に調査、計画及び準備しているのであり、司法書士はこれからも一層の注意が要求される。

2011年06月2日