島本章生ブログ

2011年2月

事業承継対策における投資育成会社の利用

事業承継対策に投資育成会社の利用がある。
結構、同会社の利用の効果を知らない専門家は多い。
投資育成会社は中小企業への投資や育成を目的として1963年に法律に基づいて設立された政府系の政策実施会社である。
事業承継の利用で税務上の株価を下げる効果は絶大だ。
同会社の同族株式の引受価額は、収益還元方式(株価=(増資後の1株あたりの予想利益(税引前)×配当性向)/期待利回り)で計算され、税務上の原則的評価方式算出評価を大きく下回ることが多い。
第三者割当で同社が引き受けることで株式の評価は希薄し、事案によっては40%くらい税務上の株式評価額の減少が実現する。
通常なら廉価で第三者が引き受けると課税問題が発生するが、同会社では不問となる。将来、同会社の株式を同族関係者が買い戻す場合も一定の条件を満たせば同じ評価方法による株価で譲渡できるから驚く。
加えて、経営干渉、上場義務、会計士による監査はなく、保有期間も定められない。
ただ、順調な時は配当をする必要があるし、定時株主総会の内容の説明義務はあるがそれは当然であろう。

2011年02月25日
 

解散・・・決議と効力日の期間

 通常、会社を解散するには、株主総会の決議による。
 その決議において、解散の効力発生を期限にかからしめることもできる。
 例えば、2月18日の株主総会で2月末日をもって解散するような場合である。
 では、2月18日の株主総会で「同年4月末日の満了をもって解散する」と決議することに問題はないか。この場合、解散決議から実際の解散までに2か月と10日の期間があるのだ。
 会社にとってみれば、外部への解散告知とか、清算に向けた準備などのために、期間を置きたい欲求は高く、実務でもしばしば直面する。
 しかし、登記実務では、これが制限される。
 つまり、解散決議から解散の効力発生日までに、数か月の期間があっては登記が受理されないのだ。
 理由は、会社の「存続期間または解散の事由」を定款に規定することが会社法上認められており、その定めは登記事項であるがゆえに、解散決議から解散の効力発生日までに相当な期間があれば、「存続期間または解散の事由」を定款で定めたことに変わりなく、よって「存続期間または解散の事由」として登記すべきだからとのことである。
 その期間は、どのくらいなら許されるのか。
 実際の実務では、1か月くらいなら登記官によっては受理されているようであるが、昭和34年の民事局長回答では「2週間以内なら解散登記を受理して差しつけない」とする。
 確かに、2年後に解散する株主総会決議をするなら、直面する解散理由もないであろうし、会社の存続期間を設定したと理解できなくはない。
 しかし、単に清算に係る準備を要するなどの理由で2~3ヶ月後に解散する決議をしたとしても、「存続期間または解散の事由」とは到底趣旨を異にし、債権者やその他の第三者を別段害するわけでもないから、受理できないとする登記事務は実務の現場から遊離している理解だと思う。

2011年02月18日
 

M&A 中小企業が買収に適した会社

 中小企業のM&Aにおいて、売却側の動機は様々です。
 今のように過去と比べて不景気となりますと事業の採算が合わないから手放したいとする経営者があります。
 確かに大手企業の各マーケットへの容赦ない進出は中小企業経営者の起業意識を削ぎますし、事業を廃業するにしても会社の借入金を精算できないと個人の保証債務が残るから、事業を売却して清算に向かいたいことは理解できます。
 しかし、そのような会社の多くは赤字かつ債務超過であり、よほどの技術や特異性がないかぎり事業は無価値で、株式譲渡価額が無償としても多額の債務を承継することになるため買い手は現れません。
 このようなケースの場合、債務と切り離して事業譲渡の方法により取引されることはあります。
 逆に高利益体質で財務がしっかりして将来性や安定感がある事業は、人気があり、高額に取引されます。
 つまり、経営者からみて「売るにはもったいない」くらいの事業がM&Aに適しているわけです。
 実がしっかりついて甘い果物を誰もが食べたいのは当然です。
 一方、買い手は、高く取引されるだけに多額の資金が必要となります。
 とすれば、一般的な中小企業が買収者となるM&Aは、小さな優良案件か、上記の前者と後者の間にある、いわゆる財務が良くも悪くもない企業が対象となります。
 こういう先は、買い手から見れば微妙で、だからこそ十分な調査(デューデリジェンス)を実施して、マネジメントに強いエネルギーを注ぐ必要があります。
 多少の問題のある不動産を安く買い、磨き上げて利回りを稼ぐといった感じに似ています。
 また、M&Aにはリスクが伴いますので、リスクを吸収できるほどの身の丈に合った買収でなければ危険です。

2011年02月18日